「これはデジカメちゃうから撮った写真見られへんよ」
「ピントは自分で合わさないとあかん。」
「真ん中の黄色いところが二重に見えるやろ。それが重なって見えたらピントが合ったということ」
ぼくは6歳のとおのに向かって必死にレクチャーする。
きょう、1台のカメラを買った。
仕事で使わないカメラを買うのはカメラマンになって初めてのこと。最近撮影する=仕事という状態が続いていたのだが、もっと純粋に写真と関わりたいという思いがずっとあって、仕事と離れた時にだけ使うと決めた。長い時間悩んでカメラ店に行った。
購入したのはローライ35RFというフルマニュアルの中古カメラ。
フィルムを自分で装填して、明るさを合わせて、ピントを合わせて、それでようやくシャッターを押すことが出来る。
せっかちなぼくからすると相当面倒だが、写真を始めた当初はそれが当たり前だった。このカメラを持つことによって13年掛かって気持ちは写真学生だった22歳に戻った。
家にカメラを持ち帰ったぼくは相当嬉しそうな顔をしていたのだろう。
すぐにとおのが寄ってきた。「何!カメラ買ったん?見せて!!」
6歳の娘の格好のおもちゃになったが、子供は飲み込みが早くすばやくピントを合わせてパチパチ撮る。
みわさんも貸して貸して!とシャッターを切る。ぼくも待ちきれずにカメラを持ってシャッターを切る。
そんなこんなで今宵は大騒ぎの撮影大会になった。
先日ぼくたちは結婚8周年を迎えた。これから何十年家族の成長をこのカメラで撮り続けよう。
河田洋祐
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