原美術館で開催中のウィリアム・エルグストン写真展「パリー京都」を観に行ってきました。
2001年に撮影された京都、2006年から2008年に撮影されたパリの作品が大半をしめます。
両作品ともカラーで撮影されたもので、共通するのはパリのエッフェル塔やカフェ、京都の寺院や舞妓などのステレオタイプ的なイメージが一切ないこと。特に京都は錦市場の魚屋の写真など、この写真家のアンテナがどこに向かっているのかを知る手がかりになります。ぼくが住む関西、京都の作品は同じ場所を見ていて、こうも見るものによって、都市の見え方が違うのかと考えると面白く思いました。
カラー写真の先駆者ということだけあり、色のバランスやフレーミングなども誰もが納得する写真です。
だけどもっとも印象的だったのは7点だけ展示されていた1976年に発表された写真たち。「ウィリアム・エルグストンガイド」という彼の代表作に収録されているものです。風景もポートレイトも1枚の写真から感じる緊張感はパリや京都を撮影した近作よりも何十倍も大きなもです。
この7点の写真を見るためだけでも、この展覧会に来て良かったと思います。
原美術館は品川駅から歩いて15分の住宅街の中にある美術館で、元はある実業家の邸宅だったそうです。自然光がたっぷりと入る館内には部屋がいくつもあってゆったりした展示で寛ぐことができます。
真っ白な扉を開ければ、思いがけない現代美術の作品が展示してあったりと、びっくり箱を開けるような面白さも随所にあって、大好きな美術館のひとつです。
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